HiraTenロゴ

MENU

国鉄民営化 成功



あさしま・ふさこ/2000年入社。週刊ダイヤモンド記者として、商社、食品、外食、家電、重電、自動車、鉄鋼、機械・重工業界を担当。2000年代中頃から労働問題の取材にも注力。15年より製造業担当の副編集長。主な担当特集は「1億総転落 新階級社会」「パナソニック トヨタが挑む EV覇権」「中国に勝つ」など。趣味は歌舞伎と酒。, 「今までも、そしてこれからも東京-大阪間の大動脈の輸送を守ることが、われわれの最大の使命である」, 柘植康英・JR東海社長は、そう力強く宣言する。民営化から30年。この間にグループの中で一番の利益成長を果たし、勝ち組に躍り出たのが、JR東海だろう。, JR東海の運輸収入に占める東海道新幹線の構成比は9割。新幹線一本に経営資源を集中投下し、年間約6000億円もの営業キャッシュフローを生み出す。そして、今度は自前で総工費9兆円に及ぶリニア中央新幹線を建設する。これほどまで機動的な設備投資が実現できるのも、JR東海が完全民営化を果たしたからに他ならない。, 発足当初は、引き継いだ資産規模から、長男のJR東日本、次男坊のJR西日本に続く、〝三男坊〟扱いだったが、今や経常利益でJR東日本をしのぐ。売上高営業利益率は約30%と、通常の鉄道会社では卓越した収益力を誇る。JR東海の成功ストーリーは、分割民営化の「光」の部分である。, 国鉄からJRへ。経営指標に関わる数字だけを見れば、国鉄の分割民営化は大成功である。, 六つの指標、すなわち売上高、単年度損益、負債、国家財政への寄与、余剰人員の削減、労働生産性で比較したところ、全ての経営指標で著しい改善傾向が見られる。, 単年度損益では、国鉄末期には経常損失1・8兆円だったが、2015年度JR7社合計では経常黒字1・1兆円と2・9兆円も改善している。同様に、負債金額は37・1兆円から6・5兆円に激減した。, 興味深いのは、国家財政への寄与度。かつては毎年約6000億円ずつ補助金をもらっていたが、最近では逆に、約4100億円を納税するまでになった。, 端的に言えば、「本州三社(JR東日本、JR東海、JR西日本)」とそれ以外の四社、すなわち「三島会社(JR北海道、JR四国、JR九州)+JR貨物」とで明暗がくっきりと分かれている。, 本州三社とそれ以外の四社の明暗を分けた理由には、もちろん30年間の経営力も含まれるのだが、それ以前の前提条件にもあった。, ざっくり言えば、国鉄から譲り受けた「営業基盤」とその後の「金利環境の変化」である。, まずは営業基盤についてだ。JR7社の発足時点の営業係数(100の収入を得るのに幾らコストが掛かるのかという目安)を見ると、本州三社の131に対して、JR北海道437、JR四国、JR九州、JR貨物405だ。本州三社も赤字ではあるが、新幹線と東京・大阪といった巨大マーケットを持っており収益化できそうなレベルだ。一方で、他の4社についてはコストが収入の3倍以上。黒字化を望むのは無理筋だ。, 稼ぐ営業基盤が与えられた本州三社は、売上高の4〜5倍に匹敵する借金を背負わされた。例えばJR東日本でいえば、売上高1・6兆円に対して、6・6兆円の負債を背負わされた。, 一方、赤字路線ばかりの不利な営業基盤を押し付けられた三島会社には、国からの〝持参金〟として、それぞれ数千億円の経営安定基金が与えられた。その基金の運用益で本業の赤字を補塡するように配慮されたのだ。, ところが、30年前の政府の想定は大きく狂った。分割民営化時の金利は年7〜8%だったが、今や低金利時代である。, 巨額の借金を背負わされたはずの本州3社は、どんどん借金を返済することができた。逆に、経営安定基金の運用益に依存する三島会社にとって、低金利は向かい風以外の何物でもなかった。, 結果として、本州3社は優良な営業基盤で稼ぎまくり、借金も速やかに返済し、劇的に財務体質が改善した。悲惨なのは、三島会社だ。稼ぐ武器を持たされることもなく、持参金も目減りするばかり。JR貨物は別の財務問題を抱えている。JR7社の体力格差は広がる一方である。, JRグループが発足して30年。ここにきて、分割民営化の「光」よりも「影」の部分が目立つようになってきた。, 分割化は、JRグループにおける全体最適と部分最適のバランスを崩した。そして、民営化は、「ユニバーサルサービス(全国で公平かつ安定的に実施されるサービス)の提供」と「企業の利益追求」をどう折り合わせるかのバランスを崩した。, 現在、分割民営化の最大のひずみといえるのは、経営難と社会的な信用失墜にあえぐJR北海道だろう。昨年11月に半分の路線の単独維持が難しいと公表した。トラブル続きのJR北海道の経営は褒められたものではないが、路線の存廃問題はJRグループ全社に通じる課題だ。, 同じ運輸業界では、人手不足に苦しむヤマト運輸が、収益性が乏しい過疎地域も含めて全国へ宅配便を届けようともがいている。何とかユニバーサルサービスを維持しようとしているのだ。, にもかかわらず、JRグループはどうか。ジリ貧のJR北海道が次々と路線の廃止・縮小を検討している一方で、より高収益のJR東海は、東京-大阪間を東海道新幹線とリニア中央新幹線の「二重系化」しようとしている。まるでJR北海道の問題は人ごとだ。, JRグループは、日本の交通網を支える社会インフラ企業である。その事業の特性上、いつの時代も公益性を持ち続けなければならないはずだ。日本で少子高齢化が加速し、地方の過疎が深刻になる中、JRグループに、公益性維持という重い課題が突き付けられている。, JR発足から30年。その間に、経済環境、社会環境は激変した。30年前に設計された「JRグループモデル」も制度疲労を起こし、老朽化してきている。今こそ、JRモデルの再構築が必要な時に差し掛かっている。, 『週刊ダイヤモンド3月25日号』の第一特集は「国鉄vsJR〜民営化30年の功罪〜」です。, この4月1日でJRは30歳の誕生日を迎えます。巨額の債務を抱えて国鉄が崩壊し、代わって発足したJR7社は自律的な経営へ転換しました。それから30年、7社の明暗はくっきり分かれ、JR北海道のような負け組企業には存続の危機が迫っています。, JR7社による自律的な経営が競争を促し、利用者に多大なメリットをもたらしたことは事実ですが、その一方で、今、分割民営化の「負」の部分が表面化しています。本特集では、分割民営化30年の功罪を徹底的に分析しました。, 加えて、もう一つの本特集の目玉は、国鉄改革を総括したコンテンツです。本誌では、国鉄改革の発端ともなった「まぼろしの連判状」の存在を明らかにしました。, 国鉄末期の1985年初夏、国鉄の若手改革派20人が、経営陣に反旗を翻して署名押印した“覚悟の血判状”ともいうべきものです。その連判状メンバー20人の実名を初めて明らかにしました。その連判状メンバーが、後に発足したJRの主要ポストへ就くことになります。, 連判状メンバーであり、“改革派三銃士”とも言われた葛西敬之氏(JR東海名誉会長)、松田昌士氏(JR東日本顧問・元社長)のインタビューも必見です。, 特集の最後を飾るページは、「JR駅で買うべき駅弁44選」です。新人記者が日本全国の駅弁を試食しまくってつくった力作なのでお見逃しなく。春の鉄道旅のお伴として、駅売店・書店で手にとっていただければ幸いです。, コロナ禍に続き、今度は「スガノミクス」が株式市場を大きく動かそうとしている。菅義偉首相が描く成長戦略は金融や通信業界のみならず、製造業、小売り、医療などさまざまな分野にまたがっており、その最新動向を業界担当記者が総力取材。併せて株投資の「超」入門講座をお届けするとともに、スガノ相場の「本命株」をランキングや銘柄リストで大解剖した。, 市場関係者に取材していて感じるのは、世間の見方とのギャップの大きさです。ネットニュースの反応などを見ていると、コロナ禍が続く中での株高を「バブルだ」として警戒する声も多いようですが、そこまで悲観的に言い切る取材先には最近、出会ったことがありません。 All Rights Reserved. 国鉄で常務理事首都圏本部長の職にあった私が、民営化のお手本として目をつけたのが日本最大の私鉄、近畿日本鉄道だった。 東京や大阪の私鉄は巨大都市圏が経営の基盤になっているが、近鉄は大阪、名古屋、京都といった大都会をつなぐだけでなく、山岳地帯の過疎地域にも路線を抱える。 1986年7月6日に実施された衆参同日選挙で、国鉄などの三公社五現業の民営化を公約に掲げた自由民主党が圧勝し、日本社会党をはじめとする野党が惨敗したことで、分割民営化が事実上決まった。 国鉄民営化は「成功」か「失敗」か?実際、その両面があり、片方だけ強調するのは文字通り「片手落ち」です。 その中で、最大級の「負の側面」として挙げるべきなのが、「整備新幹線」の「並行在来線 … JRが発足する2年前、分割民営の方向が決まった直後のことだ。国鉄で常務理事首都圏本部長の職にあった私が、民営化のお手本として目をつけたのが日本最大の私鉄、近畿日本鉄道だった。東京や大阪の私鉄は巨大都市圏が経営の基盤になっているが、近鉄は大阪、名古屋、京都といった大都会をつなぐだけでなく、山岳地帯の過疎地域にも路線を抱える。国鉄と同じ経営環境だ。, 路線網に目をつけた「鉄道屋」らしい単純な発想だったが、勉強になった最大のものは、鉄道以外の多角経営の規模とその一流ブランドだった。鉄道事業の数倍の規模の多角経営をしていたのだ。近畿日本ツーリスト、近鉄百貨店、近畿車輛、そして都ホテルなどのホテル群──どの会社も鉄道の付帯事業ではなく、それぞれの業界の一流ブランドとして業界内でしのぎを削っている。これだ、と思った。, 近鉄グループ内では鉄道以外の分野のステータスも高いに違いない。鉄道が上座で鉄道以外が下座ではないらしい。ローカル線は赤字でも極端な合理化に走ることはない。多角化経営で黒字を出して、それで補填する。, それでいて、グループのブランドは鉄道が作っている。都市間特急、そして「ビスタドームカー」のような観光特急もある。急きょ九州の責任者、常務理事九州総局長として転勤した私にとって、近鉄は、これから発足するJR九州の格好のモデルとなった。便利で安いという「理性的価値」だけでなく、おしゃれでかっこいいという「感性的価値」も、鉄道という過当競争分野では大事だということも学んだ。, 社員の意識は訓示やスローガンで変わるものではない。最も効果があったのは、社員の外部への出向だった。九州では1万人の減員を行って1万5000人でスタートしたが、なお適正人員を3000人ほどオーバーしていた。この3000人を社内に抱えていてはよくないと思った。自治体や大手企業には移行時に多数の再就職を受け入れていただいたので、今度は地場の中小企業やホテルなどサービス業に、2年の期限つきで出向をお願いした。「1人でも2人でもけっこうです。給料は当社が負担します。お役に立った分だけの人件費をいただければ幸いです。タダでもいいです」と頭を下げた。, 社員一人ひとりの能力は高い。国鉄という組織が個人をダメにした。出向先ではみな頑張って評判がよかった。お客様マインドと民間経営の厳しさ、それにその業種のノウハウを学んで帰ってきた。, JR九州、北海道、四国の「三島会社」はJR東日本、東海、西日本という「本州三社」と違って鉄道が赤字。多角経営でその分を稼がねばならない。出向組が持ち帰ったお客様マインドとノウハウはたいへん役に立った。, 彼らは小さな関連事業で生き生きと働いた。一方の経営陣は、「そろそろ定年ですから関連のほうに参ることになりました」などと言って関連事業の社長に納まる。これではダメだ。将来経営の中枢を担う優秀な部長クラスを関連事業の社長などの責任者として発令し、そこで実績を上げなければ鉄道事業の役員にはしないという雰囲気に変えた。, 「こんな優秀な人がやってくるのか」。関連事業の社員のモチベーションも上がり、鉄道と関連事業は同格だという意識が芽生えた。.
 学生の頃、何度も米国を訪れて多くの州を巡りました。ラスベガスのような不毛地帯に巨大な街をつくり上げるパワーに引かれたからです。一方でいざ長期滞在してみると、地域の人種的分断やら所得的分断やら、勝手に夢想していた「寛容な米国」とは懸け離れた現実も垣間見ました。

エヴァ リツコ 嫌い, センシティブ 英語, Twitter 非公開 検索, 鬼滅の刃 203-204, お天気 依田さん 結婚, エヴァ 使徒 名前 由来, 佐藤健 永野芽郁 呼び方, 遺留捜査 シーズン1 動画, 中村倫也 塩, ファイナル カット ダウンロード, について聞きたい 英語, アスカ 加持 死, 中村昌也 ドラマ, 鬼滅の刃 18巻 何話, ジャニーズ退社 2019, ハリウッド ギャラ 歴代, 律儀 類義語, 勝手にフォロー ブロック, マルシア 旦那, 送迎 反対 語, 哀川翔 サングラス, ハンズメッセ 化粧品 おすすめ, 僕とスターの99日 主題歌, 鬼滅の刃 20 特装版 予約, スイスベルン 観光, オリジナル入浴剤 製造, インフルエンザワクチン 2020 予約, ハンズ ビー なんばcity店, フェイス トゥ フェイク ルパンの娘, Elaborate Elaborate On, 中村倫也 ミトン, オロナミンc Cm スマイル, 桜田通 魅力, エヴァ量産機 カヲル, UFO 徳島, 鬼滅の刃 声優 一覧, ジャニ勉 アレク 動画, インフル 異常行動 新事実, 野田洋次郎 米津玄師, 森 七菜 労働, 白猫段位 平均, 同義語 検討する, 相互フォロー 表示されない, Twitter 長い画像, ブナ科 花, スイス 産業 グラフ, カヲル トリガー, ケロリン桶 木製, 森 フランス語, 西島秀俊 マンション, クヌギ コナラ ミズナラ, 佐藤健 映画, 中村友也 社長, 関ジャニ 可愛い曲, 伊藤くん AtoE 聡子, 追加 類語, Googleフォト フィードバックとは, ノロウイルス 飛沫感染,